映画『グレイテスト・ショーマン』の魂とも言える楽曲「This Is Me」。
キアラ・セトル(Keala Settle)が演じる「レティ(ひげ女)」が、社会から拒絶され、自分たちが恥ずべき存在だと教え込まれてきた過去を脱ぎ捨て、力強く踏み出す姿を描いたこの曲は、世界中の「アンダードッグ(勝ち目のない弱者)」たちの心を震わせました。
今回ご紹介するのは、世界的DJ/プロデューサーのアラン・ウォーカー(Alan Walker)による「Relift」バージョンです。
「Relift」とは、単なるリミックスを超え「より高みへ引き上げる」という意味が込められており、原曲の持つエモーショナルなパワーと、アラン・ウォーカー特有の疾走感溢れるエレクトロニック・サウンドが見事に融合しています。
鋭い言葉の弾丸を浴びながらも、誇り高く前進し続ける「戦士たち」のための最強のアンセムを、その背景とともに紐解いていきましょう。
この記事を読んだらわかること
- なぜ「This Is Me」が第75回ゴールデングローブ賞で主題歌賞を受賞するほどの支持を得たのか
- 歌詞に込められた「暗闇」や「傷跡」が、現代の私たちにとってどのような意味を持つのか
- アラン・ウォーカーによる「Relift」が、楽曲の持つメッセージをどう加速させているか
結論:~隠れる日々はもう終わり。自分のビートで進む者こそが最も美しい
「This Is Me」の根底にあるのは、「自分を愛することを他人に許可させない」という強い意志です。
映画の劇中、P.T.バーナムが上流階級のパーティーからサーカスの仲間たちを排除しようとした時、彼らは裏口に回るのではなく、自らの足で表舞台へと突き進みました。
歌詞にある「謝るつもりはない(I make no apologies)」という一節は、他人と違うこと、あるいは社会の「普通」から外れていることを負い目に感じているすべての人への免罪符となります。
私たちは誰しも傷(Scars)を持っており、それが自分を醜く見せると信じ込んでしまうことがあります。
しかし、この曲は「その傷こそが輝き(Glorious)の源なのだ」と教えてくれます。
アラン・ウォーカーのRelift版が象徴するように、過去の痛みをエネルギーに変えて、力強くマーチ(行進)を続けること。それこそが、私たちが自分らしく生きるための唯一にして最強の武器なのです。
楽曲プロフィール
- 曲名:This Is Me (Alan Walker Relift)(ディス・イズ・ミー:アラン・ウォーカー・リリフト)
- アーティスト名:Keala Settle & The Greatest Showman Ensemble
- リミキサー:Alan Walker(アラン・ウォーカー)
- 収録作品:The Greatest Showman (Original Motion Picture Soundtrack)
- ジャンル:Pop, Dance, Cinematic Pop
- リリース日:2017年(原曲)/ 2018年(Relift)
- 受賞歴:第75回ゴールデングローブ賞 最優秀主題歌賞
- 歌詞のテーマ:自己肯定、差別への対抗、勇気、自分らしさの証明
This Is Me (Alan Walker Relift) 歌詞と日本語訳
アラン・ウォーカーが「もっと良くしてやった」と自負するReliftバージョン。
キアラ・セトルの魂を揺さぶるボーカルと、現代的なエレクトロ・サウンドが融合した力強い歌詞をフルサイズでお届けします。
[Verse 1]
I'm not a stranger to the dark
Hide away, they say
'Cause we don't want your broken parts
I've learned to be ashamed of all my scars
Run away, they say
No one will love you as you are
暗闇には慣れているわ
「隠れていろ」ってみんなに言われるの
「お前の壊れた姿なんて見たくない」って
傷ついたこの姿をずっと恥じて生きるべきだと思い込まされてきた
「逃げ出せ」ってみんなに言われるの
「そのままのお前なんて誰も愛さない」って
[Pre-Chorus]
But I won't let them break me down to dust
I know that there's a place for us
For we are glorious
でも、そんな言葉で私を粉々に砕けさせたりしない
わかっているの、私たちにも居場所があるってこと
だって、私たちは輝かしい存在なんだから
[Chorus]
When the sharpest words wanna cut me down
I'm gonna send a flood, gonna drown them out
I am brave, I am bruised
I am who I'm meant to be, this is me
Look out 'cause here I come
And I'm marching on to the beat I drum
I'm not scared to be seen
I make no apologies, this is me
鋭い言葉で私を切り刻むつもりなら
洪水を起こして そんな言葉は沈めてやるわ
私は勇敢で 傷だらけ
でもこれが私のあるべき姿、これが私なのよ
見ていなさい、今にそこへ行くから
自分で刻むビートに合わせて 行進を続けるの
人の目にさらされることなんて怖くない
謝るつもりもない、だってこれが私なんだから
[Verse 2]
Another round of bullets hits my skin
Well, fire away 'cause today, I won't let the shame sink in
We are bursting through the barricades
And reaching for the sun (we are warriors)
Yeah, that's what we've become
また弾丸のような言葉が私の肌をかすめる
ええ、好きなだけ撃ちなさいよ 今日の私はもう恥に沈んだりしないから
バリケードなんて突き破って
太陽に向かって手を伸ばすの(私たちは戦士だわ)
そう、それが今の私たちの姿なのよ
[Pre-Chorus]
Won't let them break me down to dust
I know that there's a place for us
For we are glorious
彼らに私を粉々に砕かせたりなんかしない
わかっている、私たちの居場所があることを
私たちは誇り高い存在なんだから
[Chorus]
When the sharpest words wanna cut me down
I'm gonna send a flood, gonna drown them out
I am brave, I am bruised
I am who I'm meant to be, this is me
Look out 'cause here I come
And I'm marching on to the beat I drum
I'm not scared to be seen
I make no apologies, this is me
...This is me
鋭い言葉が私を切り刻もうとするなら
洪水を起こして そんなの飲み込んでやるわ
勇敢で、傷だらけだけど
これが私の運命、これが私なのよ
邪魔しないで、今私が通るから
自分の刻むリズムに合わせて 突き進んでいくの
誰に見られたって構わない
謝る必要なんてない、だってこれが私なんだから
……これが私よ
[Bridge]
And I know that I deserve your love
There's nothing I'm not worthy of
わかっている、私には愛される資格があるってこと
私がふさわしくないものなんて この世に何一つないんだわ
[Chorus]
When the sharpest words wanna cut me down
I'm gonna send a flood, gonna drown them out
I am brave, I am bruised
I am who I'm meant to be, this is me
Look out 'cause here I come (look out 'cause here I come)
And I'm marching on to the beat I drum (marching on, marching, marching on)
I'm not scared to be seen
I make no apologies, this is me
鋭い言葉が私を切り刻もうとするなら
洪水を起こして そんなのはねのけてやるわ
私は勇敢で、傷を抱えている
でもこれが私の生きる道、これが私なのよ
見ていなさい、今そこへ行くから(道をあけて、私が通るわ)
自ら叩く太鼓の音に合わせて 前進し続けるの(進み続ける、一歩ずつ)
見られることなんて少しも怖くない
謝る必要なんてないわ、だってこれが私なんだから
[Outro]
(Whenever the words wanna cut me down
I'll send the flood to drown them out)
This is me
(いつだって言葉が私を傷つけようとするなら
洪水を起こして飲み込んでやるわ)
これが私なんだから
キアラ・セトルの魂の熱唱:一歩踏み出すことを恐れた彼女が掴んだもの
実は、歌唱を担当したキアラ・セトル自身も、最初はこの曲を人前で歌うことに消極的でした。
彼女は自分の容姿に自信が持てず、オーディションでも物陰に隠れるように歌っていたと言われています。
しかし、ヒュー・ジャックマンをはじめとする共演者たちからの励ましを受け、彼女はマイクの前に立ち、自らの心の壁を打ち破りました。
「I am brave, I am bruised(私は勇敢で、傷だらけ)」という歌詞は、彼女自身の人生そのものだったのです。
彼女が歌う時に流した涙と、後半に向かって爆発するような力強さは、演技を超えた「真実の叫び」でした。この誠実さが、画面越しに私たちの心に直接火を灯すのです。
劇中シーンの深掘り:パーティー会場を突き破る「バリケード」の正体
この曲が流れるのは、オペラ歌手ジェニー・リンドの公演後、バーナムがサーカスの団員たちを豪華なパーティーから締め出した直後のシーンです。
彼らはバーナムにとって「ビジネスの道具」であっても「対等な人間」ではなかったことが露呈した瞬間でした。
しかし、彼らはそこで立ち止まりませんでした。歌詞にある「バリケード(barricades)」とは、物理的な壁だけでなく、彼らと「エリート層」を分かつ社会的な境界線も指しています。
彼らが扉を蹴破り、堂々と通りを練り歩く姿は、不当な扱いに甘んじることをやめた人間の、最も尊い姿を映し出しています。
歌詞を読み解くキーワード解説
Stranger to the dark(暗闇には慣れっこ)
「stranger(見知らぬ人)」ではない、つまり暗闇の中にいることが当たり前だった過去。孤独や拒絶が生活の一部だった苦しい背景を示しています。
Broken parts(壊れた部分)
社会から「欠陥品」だと思われている要素。しかし、それを修復するのではなく「そのまま(as you are)」でいることが大切だと歌っています。
Send a flood(洪水を送る)
降り注ぐ悪意ある言葉を、ただ受け止めるのではなく、より大きなポジティブな力(感情の洪水)で押し流すという、能動的な抵抗を表しています。
Meant to be(あるべき姿)
偶然そうなったのではなく、この姿で生まれてきたことには宿命的な意味があるという、運命を肯定する強い言葉です。
Look out 'cause here I come(見ていなさい、今に行くから)
もはや隠れる側ではない、今度は自分が主役として世界に出て行くという、攻めの姿勢への転換を象徴するフレーズです。
表現を支える語彙力:英単語解説
Glorious(グロリアス)
「輝かしい/素晴らしい」。宗教的な神々しさも含む言葉で、彼らの存在が聖なる価値を持っていることを示唆します。
Bruised(ブルーズド)
「傷ついた/痣(あざ)のある」。物理的な傷だけでなく、精神的な痛みを隠さずに表現する、本作の重要なキーワードです。
Apologies(アポロジーズ)
「謝罪」。自分が自分であることに対して、誰かに許可を求めたり、すまなく思ったりすることをきっぱりと否定しています。
Deserve(ディザーブ)
「〜にふさわしい/値する」。自分の価値を自分で認め、幸せを受け取る権利を主張する際の極めて重要な動詞です。
Worthy(ワーシー)
「価値がある」。deserveと同様、自己肯定の核となる言葉です。自分を低く見積もらない決意が込められています。
Bullets(ブレッツ)
「弾丸」。他人からの冷たい視線や言葉の攻撃を、命を奪いかねない暴力的なものとして比喩的に表現しています。
Marching on(マーチング・オン)
「行進し続ける」。単に歩くのではなく、意志を持って、リズムに合わせて堂々と進む力強さを表します。
曲の骨組みを知る:英文法解説
【I won't let them break me down】
「彼らに私を壊させはしない」。使役動詞「let」と否定の意志「won't」を組み合わせることで、自分の心を守る強い境界線を引いています。
【I am who I'm meant to be】
関係代名詞whoを用いた「私は、私がなるべくしてなった存在だ」。自己のアイデンティティを全面的に受け入れる、力強い主語と補語の関係です。
【There's nothing I'm not worthy of】
二重否定(nothingとnot)。「私がふさわしくないものなど何もない」=「私はあらゆるものにふさわしい」。控えめな表現を排した、最大限の自己肯定です。
【Drown them out】
句動詞。「(騒音などを)かき消す」。「drown(溺れさせる)」という強い動詞を使うことで、悪意を完全に無効化する力強さを演出しています。
アラン・ウォーカーによる「Relift」の魔法:エレクトロが拡張する「勇気の拍動」
原曲の壮大なオーケストラ・アレンジも素晴らしいですが、アラン・ウォーカーの「Relift」は、この曲に「普遍的なリズム」を与えました。
行進曲(マーチ)のような力強いドラムに、彼のトレードマークである透明感のあるシンセサイザーとフューチャー・ベースの要素が加わることで、メッセージがよりダイレクトに、より軽やかに私たちの体に浸透します。
アランは、作詞作曲こそ手掛けていませんが、この曲を「スタジアムで数万人が一緒に踊り、叫べる曲」へと再定義しました。
孤独な個人の叫びが、アランのビートに乗ることで、世界中の誰もが共有できる「祝祭」へと進化したのです。
「もっと良くしてやったぜ(Relift)」という彼の言葉には、この力強いメッセージを、より広い世界、より新しい世代へと届けることへの自信が満ち溢れています。
アラン・ウォーカーの「Relift」に込められた敬意
通常のリミックスが「自分の色に染める」作業であるのに対し、アランのReliftは「原曲の魂を尊重しながら、その翼を広げる」作業です。
彼はキアラ・セトルのエモーショナルなボーカルのダイナミクスを一切損なうことなく、ダンスミュージックとしての高揚感を加えました。
これは、アラン自身が「仮面をつけたDJ」として、自身のアイデンティティや「自分らしくあること」の重要性を発信し続けてきたアーティストだからこそできた、深い共鳴の結果と言えるでしょう。
「謝罪しない」という生き方:自分を解放するための魔法の言葉
「I make no apologies(謝るつもりはない)」というフレーズは、この曲の最も核となる教えです。
私たちは知らず知らずのうちに、自分の意見や自分の存在そのものが他人に迷惑をかけていないか、誰かを不快にさせていないかと「謝罪」しながら生きがちです。
しかし、この歌は断言します。あなたがあなたであることに、誰かの許可も、事後の謝罪も必要ありません。
「これが私(This is me)」と言い切ることで、他人の評価という檻から自分自身を解放することができるのです。
Relift版の激しいビートは、その解放の瞬間を祝う歓喜の拍動そのものなのです。
コメント
コメント一覧 (1)
和訳も意味まで変わる意訳になってしまっています。