この記事を読んでわかること

  • 「What’s This?」が描く「未知の世界への純粋な驚き」の本質
  • ハロウィンタウンの王ジャックが感じた「心の欠落を埋めるもの」の正体
  • 死と恐怖の世界から、光と温もりの世界へ触れた時の衝撃

【結論】Fall Out Boy「What’s This?」は何を歌っているのか?

この曲は、自分が知る「当たり前」とは正反対の世界に触れた時の、抑えきれない好奇心と狂気にも似た高揚感を歌っています。

暗いハロウィンタウンの王であるジャック・スケリントンが、偶然迷い込んだクリスマス・タウンの輝きに圧倒され、「これは何だ?(What's this?)」と問いかけ続ける姿が描かれます。Fall Out Boyのカバー版では、パンクロックの疾走感が加わり、ジャックの「新しい刺激に対する強烈な飢えと執着」がより鮮明に表現されています。





What's This? - Fall Out Boy [Re-synced HD version]

「What’s This?」が突きつけるメッセージ:欠落と発見の物語

この楽曲の核にあるのは、「どれだけ成功を収めても、満たされない心の穴(This empty place inside of me)」を抱えた者の孤独と、それを埋める何かを見つけた時の爆発的な喜びです。

歌詞から読み解く印象的なフレーズの心理的解釈

  • 誰一人として死んでいない: ハロウィンタウンの住人にとって「死」は日常ですが、誰も死なずに笑っている光景は、彼にとって価値観の完全な逆転を意味しています。
  • 心の空洞が満たされていく: 王として尊敬されながらも空虚さを抱えていたジャックが、初めて心の充足感を覚える、物語の転換点となるフレーズです。
  • これを自分のものにしたい: 純粋な驚きはやがて「独占欲」へと変わります。美しいものを見た時に、自分の世界に取り込みたいと願う人間のエゴが示唆されています。

歌詞と和訳:What’s This?

今回の和訳では、ジャックの「子供のような純粋な驚き」と「一度火がついたら止まらない狂気的な興奮」の両立を意識しています。 Fall Out Boyの速いビートに合わせ、畳みかけるような言葉選びで、未知の世界へ飛び込んだ瞬間のインパクトを表現しました。

[Verse 1]
What's this? What's this?
There's color everywhere
What's this?
There's white things in the air
What's this?
I can't believe my eyes
I must be dreaming
Wake up, Jack, this isn't fair
What's this?

[ヴァース 1]
これは何だ?一体何なんだ?
どこもかしこも色で溢れてる
これは何だ?
白い塊が宙を舞っているぞ
これは何だ?
自分の目が信じられない
夢でも見ているに違いない
起きろジャック、こんなの不公平だ
これは何だ?

[Verse 2 & 3]
What's this? What's this?
There's something very wrong
What's this?
There's people singing songs
What's this?
The streets are lined with
Little creatures laughing
Everybody seems so happy
Have I possibly gone daffy
What is this?
What's this?

[ヴァース 2 & 3]
これは何だ?何かがおかしいぞ
これは何だ?
人々が歌を歌っているなんて
これは何だ?
通りは笑い声を上げる
小さな生き物たちで埋め尽くされてる
誰もが最高に幸せそうだ
俺はおかしくなっちまったのか?
これは何だ?
一体何なんだ?

[Verse 4 & 5]
There's children throwing snowballs
Instead of throwing heads
They're busy building toys
And absolutely no one's dead
There's frost on every window
Oh, I can't believe my eyes
And in my bones I feel the warmth
That's coming from inside

[ヴァース 4 & 5]
子供たちが雪玉を投げ合ってる
生首を投げ合うんじゃなくてね
みんなおもちゃ作りに夢中で
死んでる奴なんて一人もいない
どの窓にも霜が降りて輝いてる
ああ、自分の目が信じられない
体の芯から温かさを感じるんだ
内側から溢れ出してくる温もりを

[Verse 6]
Oh, look
What's this?
They're hanging mistletoe, they kiss
Why that looks so unique, inspired
They're gathering around to hear a story
Roasting chestnuts on a fire
What's this?
What's this?
In here they've got a little tree, how queer
And who would ever think
And why?

[ヴァース 6]
見てくれ
これは何だ?
ヤドリギを吊るして、キスをしてるぞ
なんて独特で、刺激的な光景なんだ
みんな集まって物語を聞いている
焚き火で栗を焼きながらね
これは何だ?
これは何だ?
ここでは小さな木を飾ってる、奇妙だな
一体誰が思いつくんだ?
そして、一体なぜ?

[Verse 7]
They're covering it with tiny little things
They've got electric lights on strings
And there's a smile on everyone
So, now, correct me if I'm wrong
This looks like fun
This looks like fun
Oh, could it be I got my wish
What's this?

[ヴァース 7]
小さな飾りで木を埋め尽くして
紐についた電飾まで灯してる
誰もが笑顔を浮かべてるんだ
なあ、もし間違ってたら言ってくれ
これは楽しそうに見えるぞ
すごく楽しそうだ
ああ、ついに願いが叶ったのかな
これは何だ?

[Verse 8]
Oh my, what now?
The children are asleep
But look, there's nothing underneath
No ghouls, no witches here to scream and scare them
Or ensnare them, only little cozy things
Secure them in their dreamland
What's this?

[ヴァース 8]
おや、今度は何だ?
子供たちが眠っている
だけど見てくれ、ベッドの下には何もない
叫んで怖がらせる化け物も魔女もいないんだ
罠にかける奴もいない、あるのは心地よいものだけ
夢の国で彼らを守っているんだ
これは何だ?

[Verse 9 & 10]
The monsters are all missing
And the nightmares can't be found
And in their place there seems to be
Good feeling all around
Instead of screams, I swear
I can hear music in the air
The smell of cakes and pies
Are absolutely everywhere

[ヴァース 9 & 10]
モンスターたちはどこにもいない
悪夢だって見当たらないんだ
その代わりに、そこにあるのは
あたり一面に漂う幸福感
悲鳴の代わりに、誓ってもいい
空気に溶け込む音楽が聞こえるんだ
ケーキやパイのいい香りが
いたるところに満ちている

[Verse 11]
The sights, the sounds
They're everywhere and all around
I've never felt this good before
This empty place inside of me has been filling up
I simply cannot get enough

[ヴァース 11]
この光景、この音
すべてが俺を取り囲んでいる
こんなにいい気分は生まれて初めてだ
俺の中の空っぽだった場所が満たされていく
いくらあっても足りないくらいだ

[Outro]
I want it, oh, I want it
Oh, I want it for my own
I've got to know
I've got to know
What is this place that I have found?
What is this?

[アウトロ]
欲しい、ああ、これが欲しいんだ
自分だけのものにしたい
知らなきゃならない
どうしても知らなきゃならないんだ
俺が見つけたこの場所は、一体何なんだ?
これは一体、何なんだ?

「What’s This?」のドラマ性をより深く理解するためのキーワード解説

  • Daffy: 「気が狂った」という意味。信じがたい光景を前に、自分の正気を疑うほど困惑している様子を表しています。
  • Mistletoe: 「ヤドリギ」。愛の象徴ですが、恐怖しか知らないジャックには、これが非常に独特で未知なる儀式に映っています。
  • Queer: 「奇妙な」。単なる違和感ではなく、理解しがたいが強く惹かれるという好奇心が混じった表現です。
  • Ghouls and witches: ハロウィンの住人。それらが「いない」ことこそが、ジャックにとっては最大の異常事態であり、平和の象徴です。
  • Ensnare: 「罠にかける」。誰かを捕らえて怖がらせる手法がない安らかな眠りに、ジャックは深い衝撃と感動を覚えています。
  • Chestnuts roasting on a fire: 焚き火で焼く栗。破壊的な火ではなく、人を温め、団らんを作る火という新しい概念を象徴しています。
  • Empty place inside: 内側の空虚な場所。名声では埋められなかった、主人公が抱え続けてきた根源的な孤独を指しています。

楽曲の感情を読み解く英文法・構文解説

  • I must be dreaming: 助動詞 must + 進行形で「〜しているに違いない」という、驚きによる確信に近い推量を表しています。
  • Instead of throwing heads: instead of(〜の代わりに)を使い、「生首を投げるのではない」という異世界との対比を強調しています。
  • correct me if I'm wrong: 「もし間違っていたら正してほしい」。驚きのあまり自分の判断に自信が持てない心理を表現しています。
  • Could it be I got my wish: Could it be...で「ひょっとして願いが叶ったのだろうか」という、期待に満ちた自問自答です。
  • This empty place has been filling up: 現在完了進行形で、心が「今まさに満たされ続けている」という劇的な変化を描写しています。
  • I simply cannot get enough: 「いくらあっても足りない」。新しい刺激に対する、ジャックの飽くなき執着心を表しています。
  • I want it for my own: for one's own で「自分だけのものにする」。発見が純粋な独占欲へと変わる瞬間を鋭く切り取っています。
  • What is this place that I have found: 関係代名詞 that が「自分が見つけたこの場所」を定義し、発見の喜びを強調しています。
  • There's color everywhere: 「いたるところに」という意味のeverywhere。副詞として文末に置かれ、ジャックの視界すべてが彩られている臨場感を出しています。
  • Have I possibly gone daffy: go + 形容詞で「〜な状態になる」。予期せぬ変化に戸惑う自身の状態を問う、中高生が間違いやすいgoの使い方です。
  • Instead of screams, I swear: I swear(誓うよ)を挿入することで、「嘘偽りなく、本当に聞こえるんだ」というジャックの強い確信を表現しています。
  • They're gathering around: gather aroundで「周りに集まる」。みんなで輪になって温もりを共有している平和な情景を活写しています。
  • Oh, look: 強い驚きや発見を伝える「間投詞(呼びかけ)」。読者をジャックと同じ視点に引き込む効果があります。
  • The monsters are all missing: missingは「欠けている、行方不明の」という形容詞的用法。あるべき恐怖が「ない」という異常な平穏を表しています。

What's This?

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