2025年4月にリリースされた、KATSEYE(キャッツアイ)の「Gnarly(ナーリー)」。スロー・ラビットやパンク・スリップ、そしてパン・シヒョク(“hitman” Bang)といった超豪華プロデューサー陣が集結したこの曲は、現代のユースカルチャーを象徴するスラングをタイトルに冠した、実験的かつパワフルな一曲です。

この記事を読んだらわかること

  • 「Gnarly(最高、えげつない)」という言葉で表現される、彼女たちの価値観
  • タキスのチップスのように「Hottie(熱く、魅力的)」な自分たちへの誇り
  • 批判や嫉妬を「Shit is gnarly(そんなのヤバいわ)」と笑い飛ばす余裕

結論:ありふれた日常も、自分のスタイルも、すべてを「最高」へと変えていく力

「Gnarly」とは、もともとサーフィン用語で「(波が)危険だが素晴らしい」という意味から転じ、現在では「最高」「ヤバい」「えげつない」といった多面的なニュアンスで使われるスラングです。KATSEYEは、ボバティーやテスラといった身近なアイコンから、自身の邸宅(マンション)の眺めまで、すべてをこの一言で肯定していきます。

彼女たちが歌うのは、単なる贅沢への賛辞ではありません。どんな状況であっても「自分たちは最高(I'm the shit)」だと言い切る強さと、それを支える圧倒的な努力。他人が真似しようとしても(Tryna copy)決して届かない、唯一無二の「Gnarly」な存在感こそが、この曲の真髄なのです。




「Gnarly」楽曲プロフィール(ナーリー)

  • 曲名:Gnarly(ナーリー)
  • アーティスト:KATSEYE(キャッツアイ)
  • 収録作品:BEAUTIFUL CHAOS: The Remixes(ビューティフル・ケイオス:ザ・リミックス)
  • ジャンル:Hyper-Pop(ハイパー・ポップ), Dance-Pop(ダンス・ポップ)
  • リリース日:2025年4月30日
  • プロデューサー:Slow Rabbit(スロー・ラビット), Pink Slip(ピンク・スリップ), Tim Randolph(ティム・ランドルフ), “hitman” Bang(パン・シヒョク)

中毒性抜群のビジュアルとダンス:Gnarly(ナーリー)パフォーマンス映像


Gnarly (Live Performance Video) | KATSEYE

最高を更新する:Gnarly(ナーリー)歌詞と日本語訳

言葉の壁を超え、直感的に「ヤバさ」を感じさせるエッジの効いた歌詞です。

翻訳にあたっては、KATSEYEが持つ「強気なマインド」と「ユーモア」を大切にしました。「Gnarly」という言葉が持つ、時にポジティブで、時に皮肉めいたニュアンスを、文脈に合わせて柔軟に訳し分けています。

[Intro]
They could describe everything with one single word
You know? Like

みんな、たった一つの言葉ですべてを表現できちゃうの
わかるでしょ?たとえば

[Verse 1]
Boba tea (Gnarly)
Tesla (Gnarly)
Fried chicken (Gnarly)
Partyin' in the Hollywood Hills (Uh)
This song (Gnarly, uh)
Oh my god, that new beat (Gnarly; fucking gnarly)
Oh my god, is this real? (Gnarly)
(Everything's gnarly)

ボバティー(最高)
テスラ(ヤバい)
フライドチキン(えげつない)
ハリウッド・ヒルズでのパーティー(あぁ)
この曲だって(最高よ)
なんてこと、この新しいビート(最高、マジでヤバすぎる)
これって現実?(すごすぎるわ)
(すべてが最高なの)

[Verse 2]
Oh, we're in a session tonight, gang, gang
Oh, we're going out tonight? Gang, gang
Oh my god, this song's so lit, congratulations
Now you be like, "Gang"
Gang, gang, gang, gang, gang (Haha)

今夜はスタジオでのセッションよ、いつもの仲間とね
あら、今夜は遊びに行くの?最高じゃない
なんてこと、この曲マジで最高、おめでとう
今じゃあなたも仲間の一員みたいね
みんな最高、最高なの

[Pre-Chorus]
Gnarly
Gnarly
Everything's gnarly
(Gnarly) Na-na-na-na-na-gnarly
(Gnarly) Na-na-na-na-na-gnarly
(Gnar-gnar-gnar-gnar-gnar—) Na-na-na-na-na-gnarly
Everything's gnarly

最高
ヤバすぎるわ
すべてが最高なの
(最高)ナーリー、ナーリー、ナーリー
(ヤバい)ナーリー、ナーリー、ナーリー
(ナーリー……)もう手がつけられないくらい最高
すべてが最高にヤバいの

[Chorus]
Hottie, hottie, like a bag of Takis
I'm the shit, I'm the shit
(Gnarly) Obvi', obvi', they be tryna copy
I'm the shit, I'm the shit

熱く、魅力的に。タキスの袋みたいに刺激的でしょ
私が一番、私が最高なの
(ヤバいわね)当たり前でしょ、みんな真似しようとしてるけど
私が一番、私が最高なんだから

[Post-Chorus]
(Gnarly) Na-na-na-na-na-gnarly
Na-na-na-na-na-gnarly
I'm the shit, I'm the shit
(Gnarly) Na-na-na-na-na-gnarly
Na-na-na-na-na-gnarly
I'm the shit, I'm the shit

(最高)ナーリー、ナーリー、最高
誰にも止められないわ
私が一番、私が最高
(ヤバい)もうこれ以上ないくらい最高
私が一番、私が最高なの

[Interlude]
Gnarly

最高

[Verse 3]
I'm making beats
For a boring, dumb bitch
Fucking gnarly (Gnarly)
Don't talk to me
You're gnarly
I'm not (Shit is gnarly)
Je-je-jealous of my mansion?
Yeah, the view is fucking gnarly

退屈でバカな連中のために
私がビートを作ってあげてるの
マジでヤバいわね(最高だわ)
私に話しかけないで
あなたは「ヤバい(悪い意味で)」けど
私は違うわ(状況がえげつないわね)
私の大邸宅が羨ましい?
ええ、ここからの眺めは、マジで最高よ

[Pre-Chorus]
Gnarly
Gnarly
Everything's gnarly
(Gnarly) Na-na-na-na-na-gnarly
(Gnarly) Na-na-na-na-na-gnarly
(Gnar-gnar-gnar-gnar-gnar—) Na-na-na-na-na-gnarly
Everything's gnarly

最高
ヤバすぎるわ
すべてが最高なの
(最高)ナーリー、ナーリー、ナーリー
(ヤバい)ナーリー、ナーリー、ナーリー
(ナーリー……)もう手がつけられないくらい最高
すべてが最高にヤバいの

[Chorus]
Hottie, hottie, like a bag of Takis
I'm the shit, I'm the shit
(Gnarly) Obvi', obvi', they be tryna copy
I'm the shit, I'm the shit

熱く、魅力的に。タキスの袋みたいに刺激的でしょ
私が一番、私が最高なの
(ヤバいわね)当たり前でしょ、みんな真似しようとしてるけど
私が一番、私が最高なんだから

[Post-Chorus]
(Gnarly) Na-na-na-na-na-gnarly
Na-na-na-na-na-gnarly
I'm the shit, I'm the shit
(Gnarly) Na-na-na-na-na-gnarly
Na-na-na-na-na-gnarly
I'm the shit, I'm the shit

(最高)ナーリー、ナーリー、最高
誰にも止められないわ
私が一番、私が最高
(ヤバい)もうこれ以上ないくらい最高
私が一番、私が最高なの

[Outro]
Everything's gnarly

すべてが最高なの

「Gnarly」の背景:ハイパーポップの異端児とKATSEYEが仕掛ける、型破りな遊び心

KATSEYE(キャッツアイ)の「Gnarly」は、現代のハイパーポップ・シーンで最も影響力のある人物の一人、アリス・ロンギュ・ガオ(Alice Longyu Gao)によって作曲されました。このジャンル特有の派手で挑戦的なサウンドを全面に取り入れ、あえて聴き手に「違和感」を与えるような歌詞を乗せることで、飽和状態にある現在のポップ業界に対する遊び心あふれる批評(コメンタリー)としても機能しています。

スタジオでの「キャラ作り」と、言葉の二面性

メンバーのララとマノンがThe Fader誌のインタビューで語ったところによると、この曲のレコーディングは「型にハマらない、とにかく自由な雰囲気」で行われました。

ララ:「『Gnarly』はすごく型破りで、ある意味ランダムな曲なの。大切なのはバイブス(ノリ)。スタジオでは自信を出すために、サングラスをかけてファーコートを羽織って、いろんなキャラクターや声色を試したわ。深く考えすぎず、すべてを解き放つことがこの曲の本質なの」
マノン:「みんなですごくキャラになりきったわ。ララのフェイクファーを借りて、全員サングラス姿でレコーディングしたのよ。ある時は全員イギリス訛りで歌ってみたりして、とにかくやりたい放題(Doing the most)楽しんだわ!」

また、彼女たちはタイトルの「Gnarly」についても、「良い意味でも悪い意味でも、どう解釈するかは聴き手次第」だと語っています。1番の歌詞には「良い意味のナーリー」と「悪い意味のナーリー」が混在しており、その曖昧さこそがこの曲の面白さなのです。

TikTokでの先行公開と、意外な楽曲のルーツ

実はこの曲のルーツは2023年にまで遡ります。もともとはザ・チェインスモーカーズ(The Chainsmokers)のTikTok動画で、作者のアリス・ロンギュ・ガオと共にデモ音源が公開されていました。

当初は彼らとのコラボ曲として制作されたものの、お蔵入り(スクラップ)となっていた音源を、アリスがKATSEYEに提供したという経緯があります。2025年3月に正式に楽曲登録された際には、デビュー以来初となるカムバックの予感に、ファンの間で大きな話題となりました。

深読み:歌詞を読み解くキーワード解説

  • Gnarly:この曲の最重要単語。基本的には「最高」「素晴らしい」だが、文脈によっては「凄まじい」「(悪い意味で)ひどい」「キツい」といったニュアンスも含む多義的なスラング。
  • Boba tea / Tesla:Z世代や現代のセレブリティを象徴するアイテム。これらをさらりと「Gnarly」と呼ぶことで、自分たちの日常のレベルの高さを誇示しています。
  • Session:楽曲制作のためのスタジオ入り。遊びと仕事が直結している彼女たちのライフスタイル。
  • Gang:仲間、親しい友人グループ。強い絆と排他性を含んだヒップホップ的な表現。
  • Lit:「ヤバい」「盛り上がっている」「最高」。Gnarlyの類義語。
  • Takis:メキシコ発祥の非常に辛いスナック菓子。その「辛さ(Hot)」と自分の「魅力(Hot)」を掛けています。
  • I'm the shit:「私は最高」「私が一番」。汚い言葉に聞こえますが、自分を最大限に肯定する強いスラングです。
  • Obvi':Obviously(明らかに、当然)の短縮形。自信満々な態度を象徴。
  • Boring, dumb bitch:自分たちの成功を理解できない、あるいは足を引っ張ろうとする人々への強烈な皮肉。

表現を支える語彙力:英単語解説

  • Describe:描写する、表現する。たった一言で世界を定義する力。
  • Session:(レコーディングの)時間。プロフェッショナルな現場。
  • Congratulations:おめでとう。成功を手にした自分、あるいは仲間への祝福。
  • Tryna (trying to):〜しようとしている。模倣しようとする周囲の動き。
  • Copy:真似する、模倣する。オリジナリティの欠如した他者への皮肉。
  • Jealous:嫉妬している。成功者に必ずつきまとう感情を指摘。
  • Mansion:大邸宅。日本でいうマンションではなく、豪邸を指します。
  • View:眺め、視界。物理的な眺望と、アーティストとしての展望を掛けています。

曲の骨組みを知る:英文法解説

  • They could describe everything...:【助動詞could(可能性・推量)】「彼らなら〜できるだろう」。一つの言葉の持つ万能感を表現。
  • This song's so lit:【現在形 + 形容詞】「この曲はマジで最高だ」。現在の状態を断定する強い肯定。
  • They be tryna copy:【AAVE(黒人英語)の習慣のbe】「彼らは(いつも)真似しようとしている」。他者の模倣が常習的であることを示す表現。
  • Don't talk to me:【命令文(否定)】「私に話しかけないで」。格の違う相手を突き放す強い意志。
  • I'm not (gnarly):【代動詞的用法】「(あなたが悪い意味でヤバいのに対して)私はそうじゃない」。皮肉な対比。
  • I'm making beats for...:【現在進行形】「私は〜のためにビートを作っているところだ」。現在進行中の自分の活動を強調。
  • Everything's gnarly:【代名詞everything + is】「すべてが最高だ」。世界のすべてが自分の支配下、あるいは肯定的な影響下にあるという感覚。

「Gnarly」の背景:KATSEYEが切り拓く、グローバル・ポップの新基準

「Gnarly」は、KATSEYEが単なる「オーディション出身のグループ」ではなく、確固たる世界観を持った「アーティスト」へと進化したことを告げる重要な楽曲です。プロデュースには、BTSの楽曲制作で知られるSlow Rabbitや、HYBEの議長であるパン・シヒョク氏が名を連ねており、K-POPの緻密なプロダクションと、USポップの自由な精神が完璧に融合しています。

タイトルの「Gnarly」という言葉選び自体が、彼女たちのターゲットが世界中の若者(Z世代)であることを示しています。複雑な感情を一つの強い言葉に集約し、それをビートと共に発信する。このシンプルかつパワフルなアプローチは、SNS時代のスピード感に完璧にマッチしました。

「Shit」と言い切る強さと、友情の結束

この曲には、ガールズグループらしい可愛らしさよりも、一人の人間としての「強さ」と「プライド」が溢れています。「I'm the shit」というフレーズを堂々と歌い上げる姿は、現代の女性たちが求める自立したロールモデルそのものです。

また、Verse 2で繰り返される「Gang」という言葉からは、過酷なオーディションを勝ち抜いてきたメンバー同士の、戦友としての固い絆が伺えます。自分たちを信じ、仲間を信じ、世界を「Gnarly」に染め上げていく。本作は、そんなKATSEYEの快進撃を象徴する、最高に刺激的なマニフェストなのです。


ライブパフォーマンス:Gnarly (Live Performance Video) | KATSEYE

彼女たちの卓越したダンススキルと、一瞬たりとも目が離せない強烈な視線。中毒性のあるビートと融合したパフォーマンスは、まさに「Gnarly」そのものです。

視覚をジャックする「Gnarly」の世界:圧巻のダンスパフォーマンス

「Gnarly」のライブパフォーマンスは、彼女たちがただのシンガーではなく、世界屈指のパフォーマーであることを証明しています。イントロから響く重低音に合わせて、完璧にシンクロするステップ。それぞれのメンバーが持つ個性が、サビの「Na-na-na-na-na-gnarly」というリフレインの中で爆発します。

特に、歌詞の中にある「Hottie, hottie like a bag of Takis」を象徴するような、エネルギッシュで熱い振り付けは必見です。画面越しにも伝わる彼女たちの気迫は、まさに現代の「Savage(強者)」そのもの。彼女たちが歩む一歩一歩が、新しいポップシーンの歴史となっていく様子を肌で感じることができます。

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