Idler's Dream
Idler’s Dream / Oasis - アイドラーズ・ドリーム / オアシス (2002年) の歌詞日本語訳です。
楽曲の解説
"Idler's Dream" は、2002年にリリースされたシングル「The Hindu Times」のB面曲として収録されました。この曲は、ノエル・ギャラガーがアコースティックギターの演奏とボーカルを務める、内省的でロマンティックなバラードです。タイトルの "Idler's Dream"(怠け者の夢)は、現実逃避的な、あるいは叶わないほどの理想的な愛を指しています。
歌詞全体で、目の前の女性をこの世のものではない、天国から来た存在として描写し、純粋で完璧な愛への憧れを歌っています。特に「Shangri-La」(シャングリラ:理想郷、桃源郷)という言葉の繰り返しは、この夢のような愛が、現実には存在しない、手の届かない幻想であることを示唆しています。
「I never could pray 'cause it's just no good」(俺は決して祈れなかった、だって意味がないから)というフレーズは、愛への渇望と、それが叶わないことへの皮肉や諦めが混在した、ノエルらしい複雑な感情を表現しています。
語り手である「俺」は、目の前にいる女性の黄金の瞳に宿る光を見て、心臓が高鳴るのを感じます。彼女は天国の血から生まれ、天国の水を飲んで育ったような、非現実的なほどに完璧な存在です。俺は彼女に永遠に続くような日に出会い、天国がそう定めたような方法で迎えたいと願います。彼女は俺を優しく木の葉の上に寝かせ、眠りの中で包み込んでくれます。
俺は決して愛を言葉にできず、祈ることもしなかったけれど、この石のような俺の心を彼女が壊さないことを願っています。一人きりで目覚めて叫び出すのは嫌だから。そして、目を閉じ、空が赤く染まるとき(夢の終わり、あるいは現実への回帰)、俺は気づくのです。彼女の正体は、ただの怠け者の夢であり、彼女が歌っているのはシャングリラという名の幻想の楽園なのだ、と。
歌詞と和訳
[Verse 1]
My heart it skips a beat when I beholdThe light that's shining through your eyes of gold
From heavenly blood you seem to spring
From heavenly waters you can drink
君の黄金の瞳から輝く光を俺が見るとき
俺の心臓は高鳴る
君は天国の血から生まれたようだ
君は天国の水を飲むことができる
[Verse 2]
I'll meet you on a day that never endsI'll greet you in the way that heaven meant
You lay me down gently on the leaves
You cover me over in my sleep
俺は決して終わらない日に君に会うだろう
天国が意図した方法で君に挨拶をするだろう
君は優しく俺を木の葉の上に横たえさせ
俺が眠っている間、俺を覆い隠す
[Pre-Chorus]
I never did say and I wish I couldI never could pray 'cause it's just no good
I hope you don't break up my heart of stone
I don't wanna scream out loud and wake up on my own, mhm
俺は決して(愛を)言えなかったし、言えたらと願う
俺は決して祈れなかった、だって(祈っても)意味がないから
俺の石のような心を、君が壊さないことを願っている
大声で叫んで、一人きりで目覚めたくないから
[Chorus]
And as I close my eyes and the sky turns redI realise just what you are
You're an idler's dream
And you're singing Shangri-La (La-ah)
Shangri-La (La-ah)
Shangri-La (La-ah)
Shangri-La (La-ah)
そして俺が目を閉じ、空が赤く染まるとき
俺は君の正体に気づく
君は怠け者の夢なんだ
そして君はシャングリラを歌っている
英単語と英文法の解説
初心者の方にも分かりやすいように、優しく詳しく解説をします。英単語の解説
1. Skip a beat
意味: 「鼓動が早くなる」「ドキッとする」直訳は「一拍(心臓の鼓動)をスキップする」で、驚きや興奮、または恐怖で一瞬、心臓の動きがおかしくなる状態を指します。ここでは、君を見て胸が高鳴るというロマンチックな文脈で使われています。
例文: My heart skips a beat every time I see him. (彼に会うたびに胸がドキッとする。)
2. Behold
意味: 「〜を見る」「〜を眺める」see や look at よりも詩的で古風な言葉で、「じっと見つめる、目の当たりにする」というニュアンスがあります。感動や畏敬の念を込めて見つめる様子を表現します。
3. Heavenly
意味: 「天国の」「天からの」「素晴らしい」Heaven(天国)の形容詞形で、文字通り「天国のような」、転じて「極上の、崇高な」という意味で使われます。ここでは女性の起源を神聖なものとしています。
4. Spring (from)
意味: 「湧き出る」「生まれる」「由来する」動詞 spring は「跳ねる」という意味のほかに、何かの源から勢いよく出てくるという意味があります。ここでは From heavenly blood you seem to spring で「天国の血から生まれたようだ」と表現されています。
5. Greet
意味: 「挨拶をする」「歓迎する」誰かに会ったときに言葉や態度で歓迎の意を示すことです。I'll greet you で「君に挨拶をするだろう」という未来の行為を述べています。
6. Meant (for)
意味: 「意図された」「運命づけられた」動詞 mean(意味する)の過去形・過去分詞です。heaven meant は「天国が意図した」という意味で、運命的な、あるいは必然的な出会いであることを示唆しています。
7. Gently
意味: 「優しく」「穏やかに」形容詞 gentle(優しい)に -ly がついた副詞で、動作が穏やかに行われる様子を表します。ここでは「優しく横たえる」という動作を修飾しています。
8. Idler
意味: 「怠け者」「ぶらぶらしている人」動詞 idle(怠ける、暇に過ごす)に -er がつき、「〜する人」という意味になった名詞です。Idler's dream は、何もせず夢想している人が見る非現実的な理想を指します。
9. Shangri-La
意味: 「シャングリラ」「理想郷」「桃源郷」イギリスの小説に登場する架空の理想郷の名前です。手の届かない、完璧で幻想的な楽園を意味する固有名詞として使われています。
10. Wake up on my own
意味: 「一人きりで目覚める」wake up(目覚める)という動作に、on my own(一人で)というフレーズが加わり、孤独な状態での目覚めを強調しています。
英文法の解説
1. My heart it skips a beat (主語の反復/強調)
文法: 名詞 + 代名詞 + 動詞主語の My heart の直後に、it という代名詞をあえて繰り返しています。これは文法的には特殊ですが、口語や歌詞で主語を強調したり、詩的なリズムを作るためによく使われます。
2. The light that's shining (関係代名詞 That)
文法: 名詞 + that + is Vingthat は主格の関係代名詞で、直前の名詞 The light を修飾し、「(今)輝いている光」という意味になります。現在進行形が使われているため、「今まさに」の様子を描写しています。
3. From heavenly blood you seem to spring (seem to V)
文法: seem to + 動詞の原形「〜するように見える」「〜らしい」という意味で、推測や見かけを表します。ここでは、彼女が「天国の血から生まれてきたように見える」という、非現実的な印象を表現しています。
4. a day that never ends (関係代名詞 Never)
文法: 名詞 + that + never Vthat は主格の関係代名詞で、a day(日)を修飾し、「決して終わらない日」という意味を作っています。never(決して〜ない)という否定の副詞が使われています。
5. I'll meet you (未来形 Will)
文法: I will + 動詞の原形I'll は I will の短縮形で、未来の意志や予定を表します。ここでは「私はあなたに会うだろう」という語り手の決意を示しています。
6. You lay me down gently (他動詞 Lay)
文法: lay + 目的語 + downlay は「〜を横たえる、置く」という意味の他動詞です。lie(横たわる)と混同しやすいですが、ここでは「私を横たえさせる」と、目的語(me)をとっています。
7. I never could pray (助動詞 couldの否定)
文法: never could + 動詞の原形could は can の過去形ですが、ここでは過去の能力や可能性の否定を表し、「(過去のどの時点でも)決して〜することができなかった」という意味を強く示しています。
8. I hope you don't break up (動詞 Hope)
文法: hope (that) S V「SがVすることを望む」という希望を表します。that は省略されることが多いです。don't break up は「壊さないでほしい」という願望を表現しています。
9. I don't wanna scream out loud (wanna)
文法: wanna (= want to) Vwanna は want to の極めて口語的な短縮形で、「〜したくない」という強い否定の願望を表現しています。
10. as I close my eyes (接続詞 As)
文法: As S V, S Vas は「〜するときに(同時に)」という時間の同時性を表す接続詞です。「目を閉じると同時に、空が赤く染まる」という二つの事象が同時に起こることを示しています。
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