映画『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の世界へ誘うモノローグ「Opening」解説

1. 楽曲情報

  • 曲名: Opening (オープニング)
  • アーティスト名: Patrick Stewart (パトリック・スチュワート)
  • アルバム名、リリース年: The Nightmare Before Christmas (Original Motion Picture Soundtrack) (1993)
  • 作詞・作曲: Danny Elfman (ダニー・エルフマン) (※モノローグの文章自体は映画の脚本家によるものです)

2. 楽曲解説

「Opening」は、ティム・バートン原案の映画『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のサウンドトラックに収録された、俳優パトリック・スチュワートによるナレーション(モノローグ)です。このトラックは、映画本編の冒頭で流れる、観客を物語の世界へと誘う非常に重要な導入部分となっています。

このモノローグは、これから始まる物語の舞台設定と、物語の根幹となるアイデアを簡潔に、しかし詩的な言葉で解説しています。

まず、語り手は「ずっと昔、夢の中で見たかもしれない場所」という表現で、現実からかけ離れた幻想的な世界へ聴衆を引き込みます。そして、この物語が「古き良き祝日の世界」から始まったことを明かします。

この詩的な文章の核心は、「ホリデー(祝日)はどこから来るのか」という問いかけです。ナレーターは、ホリデーは自然に生まれるのではなく、それぞれの「世界」が「大騒ぎと大変な努力」(much fuss / hard work)をして私たち(人間)のために特別に作り出しているのだと説明します。ここでは、ハロウィンやクリスマスの裏側にある、「異世界での専門的な仕事」という設定が示されます。

そして最後の部分で、物語のきっかけとなる事件、すなわち「二つのホリデー(の世界)が間違いで出会ってしまったときに起こった、これまでにないほどの大災難」について触れ、観客の期待を最高潮に高めて本編へと繋がります。

全体を通して、脚韻を踏んだ詩の形式(AABBのライム)が用いられており、イギリスの伝統的な詩や童話のような雰囲気を醸し出し、大人から中高生まで、全ての年代の観客を魅了する導入となっています。





3. 歌詞と和訳

Opening

[NARRATOR]
T'was a long time ago, longer now than it seems
In a place that perhaps you've seen in your dreams
For the story that you are about to be told
Began with the holiday worlds of old

あれは遠い昔のこと、今となっては思えるよりも、ずっとずっと昔
もしかしたら、あなた方が夢で見たことがあるかもしれない場所でのこと
これから語られる物語は、
古き良き祝日の世界から始まったのだから

Now you've probably wondered where holidays come from
If you haven't, I'd say it's time you begun
For the holidays are the result of much fuss
And hard work for the worlds that create them for us

さて、あなた方はおそらく、ホリデーがどこから来るのか、不思議に思ったことがあるでしょう
もし考えたことがないなら、今こそ始めるべき時だと私は言いたい
というのも、ホリデーとは、
それらを私たちのために創り出す世界にとっての、大きな騒ぎと大変な努力の結果なのです

Well, you see now, quite simply that's all that they do
Making one unique holiday especially for you
But once a calamity ever so great
Occurred when two holidays met by mistake

ええ、つまり、彼らがしていることは実に単純に、それだけなのです
ただ、あなた方のためだけに、一つの特別なホリデーを作り出すこと
しかし、かつて、これまでにないほどの大災難が起こりました
二つのホリデー(の世界)が間違いで出会ってしまった時に


4. 英単語と英文法の解説

このモノローグは詩的で少し古風な表現が使われていますが、非常にリズムが良く、英語の美しさを学べる部分が多いです。

主な英単語の解説

  • T'was (トワズ): It was を省略した詩的・古風な表現です。特に物語の冒頭で使われます。
  • perhaps (パーハップス): 「もしかすると」「多分」という意味で、maybe とほぼ同じですが、より書き言葉やフォーマルな場で使われます。
  • holiday (ホリデー): 「祝日」「休日」という意味です。ここでは、ハロウィンやクリスマスといった「行事」そのものを指しています。
  • fuss (ファス): 「大騒ぎ」「つまらないことで気をもむこと」という意味です。ここでは「much fuss(たくさんの騒ぎ)」で、大変な準備や労力を指しています。
  • unique (ユニーク): 「唯一の」「独特の」という意味の形容詞です。ここでは「one unique holiday(一つの特別なホリデー)」と使われています。
  • calamity (カラミティ): 「大災害」「大惨事」という意味で、非常に深刻なトラブルや災難を表す、少し硬い言葉です。
  • ever so (エヴァー・ソウ): 「非常に」「きわめて」という意味で、very を強調する詩的な表現です。ever so great で「これまでにないほど偉大な、大きな」となります。
  • by mistake (バイ・ミステイク): 「誤って」「間違って」という意味の熟語です。met by mistake で「間違って出会った」となります。

主な英文法の解説

  • longer now than it seems: 「今となっては、それが思えるよりも、より長い」という意味です。文の構造をよく見ると、It is longer now than it seems (to be long) の意味が込められています。時間の流れの速さを表現しています。
  • the story that you are about to be told: 関係代名詞 thatthe story を修飾しています。be about to 動詞の原形 で「まさに~しようとしている」という意味です。be told は受け身(受動態)なので、「あなたにまさに語られようとしている物語」となります。
  • where holidays come from: 「ホリデーがどこから来るのか」という間接疑問文が使われています。この塊全体で一つの名詞の役割(ここでは動詞 wondered の目的語)を果たしています。
  • it's time you begun: 正しくは it's time you began(あなたが始めるべき時間だ)ですが、韻(ライム)を踏むために過去分詞 begun が使われています。本来の文法では、It's time + 仮定法過去 で「もう~してもよい頃だ」という表現になります。
  • the worlds that create them for us: 関係代名詞 thatthe worlds を修飾しています。create A for B で「BのためにAを創造する」という意味です。
  • quite simply that's all that they do: that's all that S V で「SがVすること、それが全てだ」という強調表現です。ここでは「彼らがすること、それは実に単純にそれだけだ」という意味になります。
  • making one unique holiday...: making は、直前の文を補足説明する分詞構文と解釈できます。「(そして)一つのホリデーを作り出す」というニュアンスです。
  • when two holidays met by mistake: when は「~するとき」という時を表す接続詞です。過去の出来事を説明しています。

The Nightmare Before Christmas (Original Motion Picture Soundtrack) (1993)

  1. Opening (The Nightmare Before Christmas)
  2. This Is Halloween
  3. Jack’s Lament
  4. Doctor Finklestein / In the Forest
  5. What’s This?
  6. Town Meeting Song
  7. Jack and Sally Montage
  8. Jack’s Obsession
  9. Kidnap the Sandy Claws
  10. Making Christmas
  11. Nabbed
  12. Oogie Boogie’s Song
  13. Sally’s Song
  14. Christmas Eve Montage
  15. Poor Jack
  16. To the Rescue
  17. Finale / Reprise
  18. Closing
  19. End Title