NF, mgk - WHO I WAS (Audio)

NFとmgk、初のコラボ曲「WHO I WAS」:自己嫌悪と喪失、そして救済への探求

1. 楽曲情報

  • 曲名: WHO I WAS (フー・アイ・ワズ)
  • アーティスト名: NF & mgk (エヌエフ & マシン・ガン・ケリー)
  • アルバム名、リリース年: FEAR (2025)
  • 作詞・作曲: Aaron Chafin, NF (Nathan Feuerstein), mgk (Machine Gun Kelly) and 1 more
  • 特記事項: NFとmgkの初のコラボレーション曲であり、EP『FEAR』からのセカンドシングル。

2. 楽曲解説

「WHO I WAS」は、NF(ネイサン・フュアスタイン)とmgk(マシン・ガン・ケリー)という、それぞれのスタイルで感情を深く掘り下げるアーティスト同士による初のコラボレーション楽曲です。

コラボレーションの背景

NFは長年mgkのファンであり、2015年にはX(旧Twitter)でファンへの返信の中でmgkを「お気に入りのラッパーの一人」として言及し、2016年にはmgkの曲の歌詞をツイートするなど、以前から彼への敬意を示していました。

コラボレーションの噂が具体化したのは、今年(2025年)の8月30日、NFが「作業中だ(I'm working.)」とツイートしたのに対し、mgkが絵文字「🧐」で返信し、NFが「そうだ(yeah)」と応じたのがきっかけでした。
このやり取りにより、ファンの間でコラボの憶測が広がり、10月30日にNFが新しいEP『FEAR』のタイトル、ジャケット、リリース日、トラックリストを発表した際に、この曲がmgkとのコラボトラックとして正式に確認されました。

テーマ:恐怖と自己破壊

アコースティックギターを基調とした内省的なサウンドに乗せて、NFはピッチを上げたボーカルでコーラスを歌い、「自分が誰だったのか」というアイデンティティの喪失と向き合います。この曲の中心テーマは、「大切にしているもの全てが、恐怖と不安によって灰になるように消えていく」という感覚です。
コーラスの「Ash and dust / Everything I care about and love / Burning up / Nothing left of who I thought I was」は、自己破壊的な行動や不安によって、築き上げてきた自己像や愛するものが失われていく様を象徴しています。

Verse 1 (mgk):道に迷った放浪者と信仰

mgkのバースは、人生における迷いと喪失感に満ちています。「住所のないGPSで、知らない家に帰ろうとしている」という導入は、彼自身のアイデンティティと安息の場所(ホーム)の不在を表現しています。彼は、父親の遺灰を撒いたこと、これまでの愛は全て「衝突して燃え尽きる」という諦観、そして最も稼いだ時が最も貧しく感じたという虚無感を吐露します。
最も重要なのは、信仰に関する部分です。彼は20年以上神から隠れて生きてきたが、光に戻ったとき、神は彼の信仰を問うことなく、彼を息子として受け入れたと歌います。これは、無条件の愛と救済を見出した瞬間を描いています。
しかし、過去の裏切り(ベストフレンドの死、結婚の断念、約束を破った逃避行)の罪悪感に苛まれ続け、その罪を溶かすために「炎の中に立っている」という結びは、贖罪と再生への強い願いを示唆しています。

Verse 2 (NF):自己嫌悪と世代間のループ

NFのバースは、彼の慢性的な怒り(Lash out)と、それが人間関係にもたらす被害に焦点を当てています。彼は怒りを「調節する方法(regulate)」を知らないのは、家庭でそれを教わらなかったからだと分析します。
彼が最も恐れているのは、「子供たちが自分のような父親になってしまうこと」です。「Dad」のようになりたくないと願う一方で、自分が「Stuck in this loop」(この悪循環に囚われている)ことを自覚しています。
さらに、カサンドラ症候群的な人間関係のパターン(「愛している」と言った直後に相手をゴミのように扱う)を自己分析し、自己嫌悪と後悔の念を深く表現しています。

両アーティストが、過去の失敗、精神的な闘い、そして自己破壊によって失われた「自分が誰だったのか(WHO I WAS)」という概念を、それぞれの視点から描き出しています。





3. 歌詞と和訳

WHO I WAS

[Chorus: NF & mgk]
Ash and dust
Everything I care about and love
Burning up (Yeah)
(Alright, turn my, uh, vocal up) Nothing left of who I thought I was
(And then just let it run) I was

灰と塵
俺が大切にしているもの、愛しているもの全てが
燃え上がっている(ああ)
(よし、俺の、あー、ボーカルを上げてくれ)自分が誰だと思っていたのか、何も残っていない
(そしたら、そのまま流してくれ)俺だったものは

[Verse 1: mgk]
Uh, I'm stuck in traffic
Tryna find my way to a home that I've never known on a GPS with no address
So I'll follow my heart, but my heart is scattered
Like my father's ashes in the back of the rental after I dropped his urn
Probably a metaphor for everything I've learned

ああ、渋滞にはまっている
住所のないGPSで、一度も知らなかった家への道を探そうとしている
だから心のままに進むが、俺の心は散らばっている
レンタカーの後部座席に置いた、父の遺灰入りの骨壺のように、それを落としてしまった後に
たぶん、俺が学んだこと全てのメタファーなんだ

Like how the only love I'll have is gonna crash and burn
Or how the poorest I've felt was after the most I've earned
The biggest lie I told is that no one should be concerned
There's gotta be another highway that don't lead to Hell
A star to lead me through the darkest night like Christian Bale

まるで、俺が得る唯一の愛は、衝突して燃え尽きる運命だということ
あるいは、最も稼いだ後に、最も貧しいと感じたということ
俺が言った最大の嘘は、「誰も心配する必要はない」ということだ
地獄に繋がらない別のハイウェイがあるはずだ
クリスチャン・ベイルのように、暗い夜を導いてくれる星があるはずだ

I hid from God for more than two decades of life
And when I came back to the light, He didn't ask me if I'm Christian still
Just opened up His arms and embraced me like I'm His Son
Erasing all the archetypes of what people like me become
Since I was young, my personality split like serpent's tongue
But all the poison in my body still ain't make me numb

人生の20年以上もの間、俺は神から隠れていた
そして光に戻ったとき、彼はまだクリスチャンかと尋ねなかった
ただ腕を開き、まるで息子であるかのように抱きしめてくれた
俺みたいな人間がなる運命の、全ての原型を消し去ってくれた
幼い頃から、俺の性格は蛇の舌のように分裂していた
だが、体中の毒でも、俺を麻痺させることはできなかった

I lost a best friend and felt all that
Crying on his open casket while I knelt on that
I had a best man picked out for my wedding
But instead of getting married, I carried guilt and left all that
A vagabond that broke a bond for Boca Raton
Who all along regretted he never kept all that
I left everything behind but this engagement ring and a frozen heart
I'm standin' in the fire to melt all that, yeah

親友を亡くし、その全てを感じた
彼の開いた棺にひざまずいて泣きながら
結婚式のためにベストマンを選んでいたのに
結婚する代わりに、罪悪感を背負い、全てを置いてきた
ボカラトン(場所の名前)のために絆を壊した放浪者
ずっとそれを手放したことを後悔していた
この婚約指輪と凍りついた心以外、全てを置き去りにした
俺は今、それを全て溶かすために炎の中に立っているんだ、ああ

[Chorus: NF]
Ash and dust
Everything I care about and love
(Burn!) Burning up
Nothing left of who I thought I was
I was

灰と塵
俺が大切にしているもの、愛しているもの全てが
(燃えろ!)燃え上がっている
自分が誰だと思っていたのか、何も残っていない
俺だったものは

[Bridge: NF]
I, I, I was (Yeah) (Burn!)

俺、俺、俺はそうだった(ああ)(燃えろ!)

[Verse 2: NF]
Lash out
Need to take a breath and calm down
Try to regulate, don't know how
Wasn't taught that in my house
Kids of my own, I step back
Look at those smiles and feel sad
Hope they don't wind up like Dad
Stuck in this loop like I am
I've (Burn!)

暴言を吐く
息を吸って落ち着く必要がある
感情を調節しようとするが、どうすればいいか分からない
それは俺の家では教えられなかった
自分の子供たち、一歩引いて
あの笑顔を見て悲しくなる
彼らがパパのようになりませんようにと願う
俺がそうであるように、このループに囚われている
俺は(燃えろ!)

Called you, never heard back
After everything we been through, the good and the bad
You're 'bout to throw it all away and overreact
Because I overreacted, karma, I guess
My temper gets the best of me, a part of me that
I wish I knew how to get rid of, it's a issue I have
My M.O. say I need you and I love you to death
Then turn around and go and treat you like you nothing but trash, I know
I know I messed that part up, but

あなたに電話したけど、返事がなかった
良いことも悪いことも、俺たちが経験した全ての後で
あなたはそれを全て投げ出して、過剰に反応しようとしている
なぜなら、俺が過剰に反応したから、これがカルマなんだろう
俺の短気が俺を支配する、それは俺の一部だ
どうやったら取り除けるのか知りたいと願う、それが俺が抱える問題だ
俺の常套手段は、あなたが必要で死ぬほど愛していると言うこと
それから態度を変えて、あなたをゴミ同然に扱うことだ、分かっている
俺があの役割を台無しにしたことは分かっている、だけど

[Bridge: NF]
I know, I know, I know, I know, I know
Yeah, I know

分かってる、分かってる、分かってる、分かってる、分かってる
ああ、分かっている

[Outro: NF]
Sometimes I lash out
Need to take a breath and calm down
Try to regulate, don't know how
Wasn't taught that in my house
Kids of my own, I step back
Look at those smiles and feel sad
Hope they don't wind up like Dad
Stuck in this loop like I am, I—

時々、俺は暴言を吐く
息を吸って落ち着く必要がある
感情を調節しようとするが、どうすればいいか分からない
それは俺の家では教えられなかった
自分の子供たち、一歩引いて
あの笑顔を見て悲しくなる
彼らがパパのようになりませんようにと願う
俺がそうであるように、このループに囚われている、俺は—


4. 英単語と英文法の解説

このコラボ曲には、自己分析、トラウマ、そして信仰に関する、複雑で口語的な表現が含まれています。

主な英単語の解説

  • ash and dust (アッシュ・アンド・ダスト): 「灰と塵」。全てが失われたり、破壊されたりした状態を表す、聖書や文学的な表現です。
  • scattered (スキャッタード): 「散らばった」「分散した」という意味の形容詞です。ここでは、心がバラバラになった状態を指します。
  • urn (アーン): 「骨壺」という意味です。
  • metaphor (メタファー): 「比喩」「暗喩」という意味です。
  • crash and burn (クラッシュ・アンド・バーン): イディオムで「失敗して燃え尽きる」「大失敗する」という意味です。
  • concerned (コンサーンド): 「心配している」「関心を持っている」という意味の形容詞です。
  • Christian Bale (クリスチャン・ベイル): 俳優の名前。ここでは、映画『ダークナイト』シリーズの「バットマン」役を指し、暗闇の中で人々を導くヒーローのイメージとして使われています。
  • archetypes (アーキタイプス): 「原型」「典型」という意味です。
  • serpent's tongue (サーペント・タン): 「蛇の舌」は、聖書的な文脈で「嘘つき」「偽善」の象徴とされることがあります。
  • vagabond (ヴァガボンド): 「放浪者」「さまよう人」という意味です。
  • Boca Raton (ボカラトン): フロリダ州南東部の都市名。ここではmgkが過去に逃避したり、滞在したりした場所を指しています。
  • lash out (ラッシュ・アウト): 「暴言を吐く」「激しく非難する」という意味の句動詞です。
  • regulate (レギュレイト): 「調整する」「制御する」という意味です。ここでは「感情を制御する」ことを指します。
  • wind up (ワインド・アップ): 「最終的に~になる」「~という結果に終わる」という意味の句動詞です。
  • M.O. (エム・オー): ラテン語の Modus Operandi の略で、「手口」「常套手段」という意味です。

主な英文法の解説

  • Tryna find my way to...: Trynatrying to の口語的な省略形です。「~への道を見つけようとしている」という意味です。
  • GPS with no address: with no addressGPS を修飾する前置詞句です。「住所のないGPS」という、矛盾した状況を表しています。
  • The poorest I've felt was after the most I've earned: The 比較級 S V was after... で「SがVした最も比較的な状態は、~の後だった」という強調構文です。「最も稼いだ後が、最も貧しいと感じた時だった」という意味です。
  • He didn't ask me if I'm Christian still: if I'm Christian still は「私がまだクリスチャンかどうか」という名詞節です。ここでは、神の無条件の受容を表現しています。
  • split like serpent's tongue: like S V は「SがVするように」という比喩です。
  • ain't make me numb: ain'thasn't の口語的な省略形です。文法的には didn't make me numb の意味で、「私を麻痺させなかった」という意味です。make O C(OをCの状態にする)の使役動詞の構文です。
  • 'bout to throw it all away: 'bout to は about to の口語的な省略形で、「まさに~しようとしている」という意味です。
  • My temper gets the best of me: get the best of me はイディオムで、「私を支配する」「打ち負かす」という意味です。ここでは「短気が自分を制御できなくする」という意味です。

アルバム『FEAR (2025)』 / NF の和訳